お母さんはどこに行った!?こいのぼりの歌の謎
「やねよ~り~た~か~い~
こいの~ぼおり~」
5月5日はこどもの日。端午の節句とも言われ、子の成長を願う日です。
最近はこいのぼりを飾っている家が少なくなってきたように感じますが、自宅待機を余儀なくさせられている昨今、「こいのぼり」でも飾ってみるか!
と、例年より多くの家庭でこいのぼりが飾られるかもしれませんね。
さて、自宅待機の中、漏れなく私も暇を持て余していたため、いろいろとネット検索していたところ、「こいのぼりの歌」の謎について興味が湧き、調べてみたので紹介したいと思います。
- お母さんはどこに行った?
- 端午の節句が男の子の行事になった理由
- なぜ「こいのぼり」が飾れれるようになったのか?
- 「こいのぼり」の歌が作られたのは昭和初期
- 「こいのぼり」2番にお母さんが登場!
- こいのぼりの歌には3番が存在していた!?
- まとめ
お母さんはどこに行った?
まずは歌詞をおさらいしてみましょう。
♪ やねより たかい こいのぼり
おおきい まごいは おとうさん
ちいさい ひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる
パッと歌詞が思い浮かんだかと思いますが、何か気づきませんか?
そうです。
歌詞にお母さんが出てこない!?
お母さんがいないのに、「面白そうに泳いでる」とはいったいどういうことでしょうか?
それには昔からの風習や時代背景が影響しているのです。
端午の節句が男の子の行事になった理由
端午の節句は、本来中国における厄払いの行事が発祥ですが、日本においては鎌倉時代の風習が根強い行事とされています。
邪気が払われるということで、端午の節句にはショウブ(菖蒲)の根や葉を入れて沸かした「菖蒲湯」に入る風習がありました。
鎌倉時代は武士が台頭し、男性が中心の世の中だったことが影響したのか、菖蒲の葉がスラっと長く剣に似ていることから「菖蒲」と「勝負」をかけて兜やよろいを飾る風習が生まれました。
このような経緯から男の子のための行事として、我が子が「たくましく成長しますように」と願って神社に奉納するようになったわけです。
なぜ「こいのぼり」が飾れれるようになったのか?
端午の節句は男の子の祝い事として確立されていったわけですが、実際にこいのぼりが飾られるようになったのは江戸時代。
江戸時代では将軍家に男の子が生まれた際、旗やのぼりをたててお祝いする風習がありました。
また、鯉には下記のように子供の成長を願う象徴としての特徴があったことから、将軍家を真似て庶民も端午の節句に「こいのぼり」をたてるようになりました。
- 鯉は清流だけでなく沼や池にも生きていける強い魚なので、子どもの健康を願う象徴にはぴったりだった
- 鯉は登竜門の故事成語にあるように「鯉が滝をのぼって、天に到達すると龍へと変わる」という立身出世の象徴だった
「こいのぼり」の歌が作られたのは昭和初期
作詞者は「近藤宮子」さん。
他にも「チューリップ」などの童謡で知られる有名な作詞者です。
昭和初期というと、家長制度真っただ中の時代でした。
端午の節句が男の子の行事として鎌倉時代から行われていたわけですが、この昭和初期においても女性の社会的な権利がほとんどありませんでした。
そのような背景から「お母さん」が詩に反映されなかったのかなと思われます。
「こいのぼり」2番にお母さんが登場!
昭和初期から一転し、戦後になると家族が大切にされる時代になりました。
この頃になってようやく
- お父さんは真鯉
- お母さんが緋鯉
- 子どもたちは小さな真鯉
となったわけです。
今の様なカラフルな飾りになったのはつい数十年前のことなんすね。
そして、ついに「こいのぼり」の歌詞2番にお母さんが登場するのです!
実に昭和57年のことです。小学生の教科書に掲載されたようです!
♪ やねより たかい こいのぼり
おおきい ひごいは おかあさん
ちいさい まごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる
後付け感はありますが、めでたしめでたし。
こいのぼりの歌には3番が存在していた!?
2番にお母さんが出てきて安心したところでしたが、実はお母さんが出て来ない別バージョンの2番が存在しますが、これは作詞者不明の幻の2番とされているそうです。
参考までに
♪ みどりの かぜに さそわれて
ひらひらはためく ふきながし
くるくるまわる かざぐるま
おもしろそうに およいでる
そして、な、なんと!3番も存在している衝撃!
♪ 5がつの かぜに こいのぼり
めだまを ちかちか ひからせて
おびれを くるくる おどらせて
やさしいそらを およいでる
躍動的な歌詞が素敵です!
まとめ
深く考えたことはありませんでしたが、まさか「こいのぼりの歌」に2番と3番があったなんて!
まさに、鯉だけに目から鱗ですね…
我が家には男の子がいませんが、小さいお子様がいる家庭では是非教えてあげてみてはいかがでしょうか?